第42回 アルフレッド・コルトーと日本

 今年2012年はアルフレッド・コルトーが亡くなって50年、1952年に来日して60年にあたる。CD関係ではいまのところあまり大きな動きはなさそうだが、とりあえず長く絶版だった『アルフレッド・コルトー』(ベルナール・ガヴォティ著、遠山一行/徳田陽彦訳、白水社)はこのダブル記念の年に復刊された。
 1952年秋、コルトーの来日公演は予定を大幅に延長するほどの盛況ぶりだったが、このツアー中、山口県下関・宇部でのコンサートのとき、コルトーは川棚(かわたな)温泉に3泊した。コルトーはここの景色をいたく気に入り、「トレビアン」を連発していたそうだ。なかでも厚島に魅せられ、コルトーは「ぜひ、この島を買い取りたい」と申し出たが、当時の村長は無償で島をコルトーに提供したという。その後、この厚島は「孤留島(コルトー)」というニックネームが付けられた。この件についてはガヴォティの著作(242ページ)にもさらりと触れられている。コルトーは川棚の関係者に再訪を約束し、日本を後にしたが、その望みはとうとう実現できなかった。
 話を多少はしょってしまうのだが、この川棚温泉にコルトーホールが建設された。併行して記念碑の建立も計画されたが、ホールの音響整備と記念碑建立の資金が不足しているらしく、現在、コルトー音楽祭実行委員会で寄付を募っている。寄付の募集期間は9月30日までだが、まだ間に合うので、寄付の意志がある人は下記に連絡をとってほしい。
〒759-6301 山口県下関市豊浦町川棚5180 川棚温泉交流センター・川棚の杜内 コルトー音楽祭実行委員会(電話083-774-3855 E-mail:info@kawatana.com)

Copyright NAOYA HIRABAYASHI
本ウェブサイトの全部あるいは一部を引用するさいは著作権法に基づいて出典(URL)を明記してください。
商業用に無断でコピー・利用・流用することは禁止します。商業用に利用する場合は、著作権者と青弓社の許諾が必要です。