盤鬼・平林と“ねこけん”こと金子建志の共演がこの11月に実現する。……などと書くとちょっと食品偽装風になってしまうが、2人が同じ舞台に立つことには間違いない。
周知のように、金子さんは明晰な音楽評論を展開する一方で、アマチュア・オーケストラを振る機会も非常に多い。私はかねてから金子さんから「一緒にやりましょうよ」と言われていたが、なにせ金子さんの本拠地は千葉・習志野方面である。臨時団員として本番前の数回の練習に参加するとしても、通うのはちょっと厳しい。そんなことだから、一緒に演奏する機会はなかなか訪れなかった。しかし、それがこの11月14日にようやく実現する。
金子さんの指揮で私が何か協奏曲を弾く、そうなればいちばん面白いのだろうが、残念ながら私は人前で協奏曲を披露するような技量は持ち合わせていない。単にヴァイオリン奏者のひとりとして参加するだけである。こう言うと、「おっ、コンマスですか?」なんて返す人もあるが、そうではない。
これまでに何回か金子さんの練習に出たが、あの評論のように非常に的確に、わかりやすく説明してくれるし、全体の流れも非常に円滑だ。雰囲気も明るくて、弾く方としてはたいへんにやりやすい。また、合間にいろいろな指揮者や音楽史的なこぼれ話をはさんでくれるのも興味深い。アマチュア・オーケストラの団員のなかに金子信者が多数存在するというのも十分にうなずける。
さて、今回のプログラムだが、モーツァルトの『ドイツ舞曲K.571』、ブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』、モーツァルトの『交響曲第40番』というものである。もともとこのオーケストラはトロンボーンがオプションという小編成のオーケストラで、マーラー、ブルックナーはおろかチャイコフスキーの交響曲も過去に一度も取り上げていない。そのため、こうしたこぢんまりとしたプログラムになっているのだが、まず『交響曲第40番』がメインというのはまずめったにお目にかかれないのではないかと思う。それ以上に珍しいのがK.571の『ドイツ舞曲』である。この曲はセットものでもCDでも聴く機会がなかなかないし、プロ・アマを含めても過去に演奏会で取り上げられた回数は極めて少ないと推測される。おおげさに言うと、今回の機会を逃したら次はいつ実演に接することができるかわからない作品でもある。それをプログラムに入れるというところが、いかにも金子さんのマニアック魂である。
さらに言うならば、アンコールにも隠し球がある。それは某有名曲を金子さん自身が編曲したものだ。それは何か? 答えは会場に足を運んで確かめていただきたいと思う。なお、オーケストラはアマチュアなので、過度には期待しないでほしい。演奏会の詳細は以下のとおり。
狛江フィルハーモニー管弦楽団第24回定期演奏会
演目/モーツァルト『ドイツ舞曲K.571』
ブラームス『ハイドンの主題による変奏曲作品56a』
モーツァルト『交響曲第40番K.550』
日時;2009年11月14日(土曜日)13時30分開場、14時開演
会場;狛江エコルマホール(小田急線・狛江駅前、小田急OX4F)
入場料;1,000円(中学生以下500円/当日券あり)
*未就学児童の入場はご遠慮ください。
団のホームページ;http://www.komaphil.com/
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