えー、どうも、みなさま。田中マリコです。今度、新刊を出しましたのでよろしくというごあいさつでございます。
今回はいつもの私の宝塚本と違い、ちょっとシリアスモードでまとめてみました。その意図は、いまの宝塚シーンそのものが非常に厳しく、とても個々の演技にツッコミを入れてシャレになる状況ではないからです。それなら開き直って、なぜ宝塚はこうなったのかを、『ベルばら』からの宝塚史三十年をテーマに考えてみました。
そして、執筆中はあまりの状況の変化にまったく余裕がなかったのですが、完成してみますと、しみじみこの『宝塚冗談タイムス』は「彼女たちへのレクイエム」だったと思います。宝塚歌劇の新世紀へむけての転換期に巻き込まれ、花開かぬつぼみのまま、どこか不本意な思いを胸に秘めて宝塚を去っていった生徒たち。もちろん彼女たちは、舞台と観客に深く感謝を捧げて宝塚を去っていきました。しかし、それでもどこか無念だったのではないかと推測できるのは、企業化した宝塚歌劇団の方針が人間らしい情けをあまりに欠いたものだったからです。
だからこそいま、ここで書き加えたい。「献辞。匠ひびき、絵麻緒ゆう、そして2001年度に退団した61人の生徒たちに」(「献辞」。これは三谷幸喜さんの舞台のセリフの一つですが)。
さて、なぜタイトルが『宝塚冗談タイムス』なのか。そりぁ~、あーた、「このシリアスさが、ほんの冗談よー」ってことですわよ~。私の書くことをあんまり真に受けないよーに。なんて、本のあとがきに書くと、あんまりひっくり返しすぎかと思ってやめたのですが、「冗談」に厄払いの意味をこめております。おほほほ。
今回のイラストは、ワコムのタブレットを使って、自分で撮影した写真をパソコンで加工したフォトコラージュです。挿絵の加工材料の写真のもとになった彫刻は花の道に安置されております。一度、お参りのほどを。5円、10円など、銅像の足もとにお供えして、宝塚歌劇の繁栄を願かけするのも、来宝記念になることでしょう。
しかし、一企業の銅像を宝塚市の血税で建てたそうで、なんだか公費のムダ使いという気がせんでもないですが。まがりなりにも公費で建てたからには、りっぱな公共物なのですが、銅像が肖像権を主張したときにそなえて、いちおうこの作品は著作権登録しておきました。その名も「彫刻コラージュ」。コンセプトは「街頭彫刻に直接落書きすると器物破損になるが、自分でとった写真に落書きするとだれにも怒られず愉快。新しいイメージが生まれ、とても愉快」で、みごと著作物として認定がとおりました。
なかでもとくにおもしろいものをホームページならではのカラーでご紹介しましょう。夏真っ盛りふう・君に胸きゅんきゅん。オスカルの手にしたブタの蚊取り線香にご注目。真琴グッズですね~。ブタの香取線香。ぜひ作ってほしいアイテムの一つでした。
トップ娘役のイラストでお気に入り2点は、花總まりの千手観音と大鳥れいのカニ。基本的に両者とも、背負い羽根の要領で作れば実現可能だと思いますが、どうでしょう。花總まりに残された最後の高貴な役は、もう千手観音くらいしかないでしょう。大鳥れいは大阪の元気なねえちゃんで、道頓堀の名物看板・かに道楽のカニを背負わせました。♪とれ~とれ~ピチピチカニ料理~♪の名曲はナニワの心そのものです。月影瞳には二宮金次郎像の薪を背負わせようかと思いましたが、二宮の像が絶滅しており断念いたしました。プリクラふうもオツかと思いますが、♪赤い灯~、青い灯~は時節がら、グリコのマークがワールドカップ仕様なのも注目していただきたいですね。
なおアンドレとオスカルの春琴ふうは、友人Hが17年前に新婚旅行にいったときのベルサイユ宮殿の春の噴水が背景ですが、しかしこうして実際にオルカルとアンドレを現地においてみますと、そこはかとなく笑いを誘うのはこれまたなぜでしょう。
さて、ここで問題です。第1章の扉絵に壮大な仕掛けが隠されております。さて、それはなんでしょう。ヒントはやはりフランス語ですね。まぁ、訳して、大笑いしてください。
あとの内容は読んでからのお楽しみということで、お買い上げのほど、よろしくお願い申し上げましょう~。