死ぬまでに聴いておくべき厳選曲全14曲――演奏比較その後――『クラシック、これを聴いてから死ね!』を書いて

大嶋逸男

  次に挙げたのは、原稿の執筆を終わったあとに発売されるなどして私の手元にはなかったCDで、本書では紹介されてない演奏たちです。「えー?! そんな録音もあるの?」「どんな演奏なんだろう? 聴いてみたい!」と目をひくものとそうではないものがありますね。本文とは少し違う切り口でコメントを書いてみましょう。

●モーツァルト『ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲」』
○フリードリッヒ・グルダ(ピアノ)、1999年
   本文にあった演奏とは違って、もっともっともっとたくさんの装飾音を散りばめた演奏のようです。
○フリードリッヒ・グルダ(クラビノーバ)、1999年
   ク、クラビノーバって、あのヤマハの? ……そうです! 大変なことになっているようです!
○ミハイル・プレトニョフ(プリュートナー・ピアノ)、2005年
   プ、プリュートナーって、どこのメーカーなの? ……んー、なんだかハンマーがたたく弦のほかにもう一本ハンマーに触れない弦が張ってあって、それが共振するとかしないとか……。よくわかりません!

●モーツァルト『ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467』
○マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ/指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、2005年/ライヴ
   ポリーニの弾き語りって珍しいわね! 指揮はうまいの? ……その心配が的中しているらしく、これも大変な騒ぎになっているようです。

●モーツァルト『交響曲第40番ト短調K.550』
○ジェームズ・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団、1981年
   また! レヴァインじゃどうせつまらないんでしょ? ……彼は現在、ディズニーランド・レーベルの専属指揮者ですが、その昔はもっとまっとうな時期もあったようです。……それほんとなの?
○マルク・ミンコフスキー指揮レ・ミュジシャン・デュー・ルーブル、2005年/ライヴ
   あまり聞いたことがない演奏家ね? ……古楽の出身でひじょうに活きがいいって評判です! ……じゃそれ、いただくわ! ……え!? 寿司ネタじゃありません!

●モーツァルト『レクイエム(死者のためのミサ曲)ニ短調K.626』
○ダニエル・バレンボイム指揮パリ管弦楽団・合唱団、キャスリーン・バトル(S)、アン・マーレイ(Ms)、ディビッド・レンタル(T)、マッティ・サルミネン(B)、1984年
   またぁ、パリ管時代のバレンボイムじゃつまらないでしょ! ……おそらく、私もそう思います!
○ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽&器楽アンサンブル、カトリーヌ・デュボスク(S)、エヴェ・ポドレシュ(A)、ギイ・ド・メイ(T)、ミシェル・ブロダール(B)、1990年/ライヴ
   コルボの録音はいくつもあるのね! ……ええ、入れ込んでますので! こないだなんか日本でフォーレとモーツァルトの二つの『レクイエム』のコンサートをやりましたよ!

●ベートーヴェン『交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」』
○クラウス・テンシュテット指揮キール・フィルハーモニー管弦楽団、1980年/ライヴ
   テンシュテットってなぜあんなに神格化されるの? ……たぶん、旧東ドイツで当局から干され西側に亡命するとガンを患っていることが判明し、闘病生活からカムバックしてまた指揮台に立つなどという波瀾万丈の人生を送ったからでしょう!
○クリスティアン・ティーレマン指揮フィルハーモニア管弦楽団、1996年
   例のハンサムな指揮者ですごい人気のある人でしょ? 私もあこがれちゃう! ……あのぅ、指揮者ですので一応音楽を聴いてみてください!
○岩城宏之指揮オーケストラ・アンサンブル金沢、2002年/ライヴ
   岩城さん今年2006年に亡くなられたけど、どんな演奏家だったの? ……はい、指揮をするより『棒ふり旅ガラス』などという演奏旅行での日記やエッセイなど音楽以外のことを書くほうが楽しかったようです!